地域と大学生がまちの未来をともにつくる

 

地域と大学生がまちの未来をともにつくる

 

フィールドワークの記録

SEASON 4
2019 /
WINTER
 

テーマ

未完の実装

Unfinished implementation

時代を切り拓いてきたアイデアは、その多くが完成形ではなく未完の状態で時代に実装され、その後長い時をかけて成熟して定着することで、社会に大きな変化をもたらしてきました。言い換えれば、未完成のものを社会に実装する勇気と、社会を変えようとする個人や共同体の継続的な取り組みこそが、新しい時代をつくってきたと言えるでしょう。行政・地元企業・地域コミュニティ等とパートナーシップを組み、「大学生ではできない」ではなく「大学生だからできる」新しい時代の拓き方を、大学生の視点で提案・実践します。今回の冬の発表会では地域の方々に向けて企画提案したプロジェクトをどう実装していくのかを発表しました。


1日目|雪景色のなか、冬のワークショップがスタート

イントロダクション

今回の冬のワークショップの期間は2/18~22で行う。その初日が今日で、午前11:00からイントロダクションが行われた。市役所の人口減少対策室の上出さんも来てくださり、コーディネーターの三島さんと運営のゆりあさんを中心に、期間中のスケジュールや、4期生のプロジェクトの進捗について共有が行われた。

ランチの後は、拠点の町屋を整理してから、プロジェクトについて、ディスカッション。アビーは、死について考えそれを写真で表現するため、ショックな印象を与える。どのような写真がベストなのか、どうやって地域の人とコンタクトをとり実現していくのかということをコーディネーターの三島さんと議論していた。

大聖寺高校の学生と交流

それから、みんなで地域の進学校・大聖寺高校へ。1年生が総合的な探求の時間を使って、「地域課題探求」を行なっており、PLUS KAGAの大学生と交流して、お互い刺激し合おうということで、今回の交流が実現した。

「大学生はどんな印象ですか?」という大学生からの質問に、高校生からは「自由とか、楽しそう」などの意見が飛んだ。

高校の先生から質問が。「どうして、PLUS KAGAに参加しようと思ったんですか?」

ザキヤマダは、誘われたときシンプルに面白いと思ったからとのこと。やはり、面白そうなものに飛び付いて行動していく貪欲さを持ったのが、今回のPLUS KAGA 4期生なのだ。高校生にも、ぜひワクワクするプレゼンを聞きに来てほしいと三島さんが締めくくる。

夜は恒例ウェルカムパーティー

パーティーは19:00から始まった。4期生やOB、地域の方々が集まり、食卓を囲む。プロジェクトを進めていくには、地域の方々の協力が欠かせない。みんな飲んで笑って楽しそうな時間が続いた。

地域の方々には、約30名以上の方々に集まっていただいた。

今回もバーフレンズの熊岡さんが100円で美味しいお酒を提供いただいた。スギヤマ酒店の杉山さんは前回同様DJをしていただき、素敵な音楽をたくさんかけてくださった。

受け付けには、プラスカガグッズの缶バッジ、バッグなどの物販も並んだ。<現在はBASEにて販売中です!>

4期生も地域の方にプロジェクトの相談をしている姿が多く見られた。これから、どんなプロジェクトが実行にうつされるのかとても楽しみだ。明日は学生がそれぞれ関心のある地域でプロジェクトの準備をする日になる。


2日目|個別プロジェクトデー

今日は、プロジェクトの実現に向けて、4期生各自が個別に行動する日。

朝7時にあおいと合流した。散歩のプロジェクトを作るべく、散歩している人に実際にヒアリングをするようだ。あおいにとって、散歩の醍醐味は、道端にある些細な発見である。ただ、それがどうプロジェクトに結びつくのかについて頭を悩ませていた。ヒアリングをした先に、何か進むべき道が見つかるのだろうか。

朝6時から行なっていて、1時間で5人の散歩者にヒアリングできたらしい(僕は寝坊したので7時に合流)。散歩コースについて話を聞いたところ、犬の散歩をする人は川沿いを歩く人が多いなど、様々な発見があったそうだ。

お昼頃に、ないきのプロジェクトに同行。大聖寺にあるアリス学園の2つのクラスの学生たちに、明日のイベントの案内をしていた。その名も、ないきによる「ないきっちん」。20日の18:00~大聖寺のPLUS KAGAの拠点で、外国人の交流会を開催する。

加賀市内には、ベトナムやインドネシアから来た外国人が住んでいる。地域の人と交流がないようで、食事会を開いてみようというのが開催経緯だ。後々、空き家などを活用して、色々な地域でご飯会を開催できたらと考えている。

午後は、個人作業や、プロジェクトの相談をし合うなど、各々自由に過ごす。台湾からきたアビーは日本(加賀)の死や葬儀について関心があり、大聖寺のお寺・本善寺にヒアリングに行くことにした。

台湾と日本の信仰や、生と死。違いがあるからこそ交流する意味がある。アビーがやろうとしているプロジェクトは、人間が誰しも訪れる死という根源的な問いに対して、真っ向から挑んでいるのがすごい。だからこそ、地域にプロジェクトとして何が提案できるだろうか…と頭を悩ませる。非常に斬新でインパクトがある一方、タブーにもなりかねない人の死に対して、地域とどうコミュニケーションをとってどうプロジェクトを実現していくのか、とても楽しみだ。


3日目|おためしプロジェクトデー

おためしプロジェクトデー準備がはじまる

今日は、お試しプロジェクトデーということで、大学生がプロジェクトの実現に向けて小さな一歩を踏み出す日。それぞれの学生が何を考え、実際に何をやったのかをお届けする。

ザキヤマダは夜な夜な作業していた。ヤギミルク石鹸の型を作るべく、職人のように細かい作業を淡々と行う。翌日、搾乳のために、小塩辻の宇谷さんの牧場に来た。大ちゃん(3期生)、運転ありがとう。ヤギにえさやりをした。尿がかかって前髪が黄色くなっているヤギがいた。臭い方がモテるそうだ。人間でいう金髪みたいな感じなのだろうか。芸能人を見かけたかのように、ザキヤマダは写真と動画を夢中で撮りまくる。それから、ヤギの餌について説明を受ける。餌あげながら、ヤギの気をそらして搾乳を行うらしい。

午後は、橋立で街を構成する重要な要素、「笏谷石(しゃくだにいし)」をはじめとした地域資源に着目して、街歩きを行なっているうっちーの様子を見にいく。

うっちーは、もう既に笏谷石にかなり詳しくなっており、「ここでは笏谷石が一部使われています」とか、「ここは昔は100%笏谷石が使われていたけど、今は全く使われていません」とか、街の人に解説をしていた。笏谷石は、福井県から運ばれた石で、昔は多く使われていたが、現在はあまり使われていない。福井の採掘現場が平成10年に閉山してしまったようで、崩落の危険が高まったのと、収支が合わなかったのが要因らしい。消えゆく知られざる資源に着目して、そこから街を捉え直し、プロジェクトを考える、というのがうっちーの試みである。

プラスカガの拠点である大聖寺の町家に戻ってきたのが、16時ごろ。あまねが、子供たちと遠隔で電気をつけたり消したりする実験をしていた。IOTを使って、地域の課題を解決していくプロジェクトを構想中だ。

その頃、台所では、続々とベトナム人やインドネシア人をはじめとした、大聖寺のアリス学園の生徒たちが料理を作っていた。今夜は、地域の外国人を集めた交流会、ないきによる「ないきっちん」の本番である。

18:00過ぎに、ないきの自己紹介から、「ないきっちん」はスタート!PLUS KAGAメンバーや運営、OBOGを除いても、約25人ほど人が集まってかなり賑やかに始まった。

様々な国籍の人が混じり合い、話が弾んでいく。言葉を教えあったり、食べ物の違いを話ししたり、とても楽しい会になった。

お試しイベントにも関わらず、これだけの人が集まり、大盛況に終わったないきのプロジェクト。instagramのアカウントも作ったようで、これからも企画を行なっていくそうで楽しみだ。

今日は取材できなかったが、他の4期生であるアビーは「加賀市民に対するアンケート調査」、あおいは「大聖寺での住拓をテーマにしたお散歩」を行なったようだ。PLUS KAGAのfacebookなどをぜひ参考にしていただきたい。

今期のPLUS KAGAもあと2日。明日は、最終の公開プレゼンに向けた準備の日だ。加賀市に向けて、4期生は何を提案するのどうか。明日も引き続き、その進捗をお伝えしていく。


4日目|最終プレゼン準備

今日は明日の最終プレゼンに向けて最後の準備日。4期生はミニプレゼンを行い、最終的なブラッシュアップを行なった。

4期生一人一人に、「加賀市をもっとより良くしたい」という意思がある。PLUS KAGAでは、自ら具体的なアイデアを持って、それを実際に実践しなくてはならない。

プレッシャーに押しつぶされそうになることもある。

涙を流すこともある。

それでも、乗り越えなくてはいけない。

大学生にとって、個人プロジェクトを立ち上げるというのは、とてもハードルが高いことだ。社会の荒波を何十年も経験した地域の人々と対話して、間違いを恐れずに自分の興味を持ったことに対して、真っ向から挑んでいく。その姿をぜひ見に来ていただきたい。


5日目|最終プレゼン

今日はPLUS KAGA最終プレゼン。

前半は4期生のうっちー、あおい、ザキヤマダ、ないき、アビー、あまねが加賀市での今後のプロジェクトについて、1人1人プレゼンテーションと質疑応答を行なった。

今年は、PLUS KAGA 4年目。年々、学生の提案する内容もレベルが上がってきていると感じる。一番大きく変わったのは、大学生が「実際にプロジェクトを実行に移す」という部分がより実践されていることだろう。1~2期生は10人以上の参加学生がいたが、3期生で8名、4期生で6名と、徐々に定員も絞られ、年々レベルの高い大学生が集まっているという印象だ。4期生は選考も行われたと聞いている。

最終プレゼンでは、その「実行力」を再確認できた。思い返せば、ないきの「ないきっちん」では、前日に少し宣伝しただけにも関わらず、外部からの参加者が25名ほどの大盛況なイベントを行なった。また、アビーは、加賀市民に「死」に関するアンケート調査を行いすぐに約50人の回答者を獲得。あおいの散歩も他の大学生が爆睡している中で朝早起きして、散歩者にインタビューをたくさん行なっていた。

4期生は今回の滞在で大活躍だったが、「今後」について考えることはとても大事なことだ。やはり、プロジェクトを通して、地域に継続的に関わる大学生が増えるか、あるいは、大学生が立ち上げたプロジェクトが地域に根付くというのは1つの成果である。今後は、PLUS KAGAを通して、大学生が加賀に移住してくれるということも増えるのではないだろうか。

その後は、OBOGのつばさとなおき、PLUS KAGAを日頃サポートしてくださっているルロワさんと飯貝さん、大聖寺高校の5名を交えたトークセッション。

1期生のつばさはトークセッションで、「自分がいなくなっても地域でプロジェクトが根付いていくことが大事なのではないか?」と提起していた。メソッドのような仕組みを作って、それが継承されていくという発想だ。確かに、継承可能なものは、どんどん継承されるのが良い。

一方、メソッド化の困難な大学生個人のニッチな興味と熱量によって成り立つプロジェクトはどう考えたら良いのだろうか。大聖寺高校の前川さんは、「自分の高校では地域課題から発想するというというやり方をしていたけど、PLUS KAGAの大学生は自分の興味をもとにプロジェクトを作っている。」ことに気づいたという。何れにしても、継続的に1人1人の大学生がプロジェクトで長く地域に関わってくれたら、「関係人口」が増えるし、大きな成果といえるだろう。

それだけではなく、第二の故郷のように気軽に遊びにこれるという地域との関係性ができることは、これもまた重要なことである。

最終プレゼンでは、後ろの壁に過去の参加学生のプロジェクト紹介も貼られていた。その横では、卒業論文が読めるコーナーもあった。休憩時には、たくさんの人がOBOGの活動に目を向けてくれていた。また、この掲示を始め、椅子の準備、ステージ作り、グッズコーナー作りなどの会場準備には、たくさんのOBOGが関わっている。

OBOGが通ってくれてこそのPLUS KAGAであることを、今回改めて実感したのである。これからも、PLUS KAGAや地域に関わる大学生が増えてくれたら嬉しい。


レポートライター

稲村行真Yukimasa Inamura

2016年度PLUS KAGA生

PLUS KAGAプロジェクト詳細はこちらから

稲村行真ブログ 「旅してみんか?」はこちらから


https://pluskaga.org/wp-content/s/original

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