Re-Envisioning the City as Commons
かつてのまちには、人が生きていくために必要な物事を誰か個人が所有するのではなく、そのまちで生きる人々が共に所有し使用する考え方がありました。その所有形態のことを「総有」と言います。
いまや当たり前の考え方になった「共有(シェア)」とそれが異なるのは、「共有」が構成員の所有権(分割請求権や管理権)を認める一方、「総有(コモンズ)」では利用権のみが認められ、所有権はあくまで共同体が保持していることです。つまり「総有」とは、みんなが生きていくために必要なものをまちで持ち続けるために「誰も持っていない」状態にすることであり、日本の近代以前の農村社会など多くの共同体では、土地や建物、水源、草刈り場、放牧場、山林などが「総有」されていました。
しかし近代以降、これら人々が生きるための環境と資源をお金があれば誰もが所有できる時代となり、まちは誰かのものだらけになっていきました。そしていま、人口減少とともに所有者がいなくなった家・店・土地・畑・山などが増えつづける中、まちにおける所有のあり方や、まちで人々が共に生きていくための環境マネジメントの方法について、いまあらためて考える必要があるのではないでしょうか。
PLUS KAGAでは石川県加賀市を舞台として、こうした人口減少という不可避の現象における様々な変化の兆しの中にこそ、私たちの新しい生き方やまちづくりの可能性があるのではないかと考え、大学生の皆さん、そして地域住民の皆さんとともに思考と試行を重ねます。加賀での夏の3週間を通じて、大学生がリサーチからプロジェクト企画、そしてプロトタイピング(社会実験)まで、地域という現場での実践をしっかりと経験するプログラムです。新しい時代の拓き方を思い切りよく、そして、真正面から現場で考えて実現してみたいと思う大学生の方、ぜひご参加ください。
※コモンズ:共有地、ならびに共有の財産を管理・保守する共同体の仕組みや制度
加賀って聞いたことあるけど、どこだろう?金沢の近く?と思うかもしれません。実は、石川県加賀市は石川県の最南端、お隣は福井県という立地にあります。金沢から電車で25分程度で、海から山まであり、温泉もあり、伝統産業もありと魅力がたくさん詰まった場所なのですが、県内で一番人口減少のスピードが早く*、次世代への魅力づくりが課題となっています。
今回、参加者のみなさんが滞在し、まちづくりの企画提案を行うのは加賀市の中の地域の一つである大聖寺です。大聖寺は、加賀市にとって歴史ある中心的なまちです。そのため市役所や県立高校があり、商店などを含む昔ながらのまちなみが残っています。また、大聖寺という名前からわかる通り、寺社仏閣が多く、自然とまちの関係性がとても近い場所でもあります。しかし、中央病院が加賀温泉駅(市内の隣の駅)に移るなど、人口減少とともに空き家などが増加し、商店が減っているといった課題を抱える場所でもあります。今回はこの大聖寺を舞台にまちづくり企画の提案を行います。
※2015年 国勢調査より
2022年8月22日(月)から9月10日(土)の3週間
※原則として全日程参加できる方
社会情勢によっては日程や期間を変更させていただくことがございます。
1万5千円(早割)通常 2万円(宿泊費込|食費、加賀市までの交通費別)
早割期間:6月23日(木)23:59まで
6名程度
現在大学、大学院または専門学校に在籍している方、ギャップイヤー中の方
石川県加賀市大聖寺
石川県加賀市大聖寺京町41(PLUS KAGA 宿泊施設)
6月30日(木)23:59
※エントリー後のながれはこちらから
PLUS KAGA運営事務局
こちらからお問い合わせください
フィールドワークから自分のテーマを発見し、実践を行い
まちの提案をするというまちづくりの流れの体験ができる
夏の熱い滞在型地域まちづくりプログラムです
まちづくりの方法、フィールドワークの仕方、
テーマについて学ぶ
ゲストレクチャー❶
ゲスト:廣瀬花衣 氏・神尾涼太 氏
廣瀬花衣氏|株式会社リ・パブリック所属。鹿児島県・薩摩川内市を舞台とした、サーキュラーデザインを要とする都市のデザイン「薩摩フューチャーコモンズ」やサーキュラーな暮らしを模索するまちの拠点「RE:STORE」の企画・運営に従事。
神尾涼太氏|株式会社リ・パブリック所属。ディレクター。バルセロナ大学大学院・空間プランニング&環境マネジメント修士課程卒業後、Institute for Advanced Architecture of Catalonia – IAAC・Design for Emergent Futures(新興未来のためのデザイン)修士課程に入り、都市デザインを学ぶ。現在は「薩摩フューチャーコモンズ」のプロジェクトリーダーを務める。
ゲストレクチャー❷
ゲストレクチャー❸
ゲスト:瀬下翔太 氏
1991年、埼玉県生まれ。東京都在住。編集者、ディレクター。NPO法人bootopia代表理事。慶應義塾大学環境情報学部卒業。2012年より批評とメディアのプロジェクト「Rhetorica」の企画・編集を行う。2015年に島根県鹿足郡津和野町に居を移し、2021年春まで高校生向け下宿を運営。
フィールドワークの前に、まずはまちの資源を見つけましょう。まちに繰り出し、総有をテーマに自分でお題を決めて大聖寺の総有に関するマップを作成します。
ゲスト:石川由佳子 氏
アーバン・エクスペリエンス・デザイナー。一般社団法人 for Cities共同代表理事。「自分たちの手で、都市を使いこなす」ことをモットーに、様々な人生背景を持った人たちと共に、市民参加型の都市介入活動を行う。体験をつくることを中心に「場」のデザインプロジェクトを国内外で手がける。都市の中で、一番好きな瞬間は「帰り道」。
これまで参加したPLUS KAGAメンバーとオンラインでつながり、みんなで話します。
フィールドワークから自分のテーマを決める
これまでとこれからのまちで暮らす人
フィールドワーク①大聖寺の暮らし
フィールドワーク②大聖寺の教育
これからのまちの企業のあり方を考える
フィールドワーク③大聖寺の企業
かつてまちのコモンズだったものをめぐる
フィールドワーク④大聖寺の自然
フィールドワーク⑤大聖寺の寺院
いまのまちづくりの課題を知る
フィールドワーク⑥大聖寺のまちづくりと商店
地域の様々な人が集まり、大学生を迎えます!1人1品持ち寄りパーティーで地域の方々と親交を深めます。
コーディネーターや過去の参加者によるマンツーマンでのプロジェクトづくり。ここでみんなのプロジェクトをしっかりと考えます。
公開プレゼンテーションの前に、地域の人が集まり、みんなの企画やテーマにフィードバックをしてくれます。
自分のテーマを実践し地域に向けてプレゼンをする
プレゼンの内容に沿った実践をしてもらいます。
模型をつくってもよし、実際にイベントをしてもよし、zineなどを製作してもよし、これらの実践をもとにプレゼン内容を考えます。
<これまでの総まとめ>
地域の方に向けて、自分の考えたまちの提案をします!
希望者のみ実施
1泊地域の人のお家にステイ
希望する方は、地域の方のお家に泊まるローカルステイをすることができます。
実際の加賀市での生活をお試しする機会になるかも...?貴重な宿泊体験ができます。
※プログラムは予期なく変更することがございますが、ご了承くださいませ。
本気で取り組むワークショップを
探している人
地域に長期間滞在して、
まちづくりを考えたい人
しっかり取り組むワークショップに
興味がある人
まちづくりに興味があるが
これまで実際に活動する機会がなかった人
グループワークではなく
自分の力を試したい人
まちづくりを提案するだけでなく
実践したい人
大学生と地域の新しいまちづくりに
興味がある人
地域に入り、地域の人と一緒に
まちづくりをしてみたい人
三島由樹
株式会社フォルク代表取締役
コーディネーター
金田ゆりあ
メインファシリテーター
三木つばさ
フィールドワーク担当
川崎光克
プロトタイプ&
プレゼンテーション担当
国内の様々な地域社会でリサーチ、デザイン、コミュニティづくりに関するプロジェクトに取り組むデザインオフィス。2015 年の設立後、現在では東京(台東区上野桜木)と北陸(加賀市大聖寺)を拠点としている。主なプロジェクトにPLUS KAGA Project(2016-)、Ajirochaya(2017-)、下北線路街園藝部(2020-)など。主な受賞にグッドデザイン賞(下北沢線路街空き地)、緑の環境プラン大賞 国土交通大臣賞(芝のはらっぱ)等。
PLUS KAGAはこれまでPLUS KAGAに参加したメンバーと
これまでPLUS KAGAに協力してくださった加賀市に住む加賀メンバーとともに運営しています
オンラインにて説明会を実施いたします。また、これまでPLUS KAGAに参加したメンバーも参加し、みなさまからのご質問等を受付いたします。
参加者のお問合せや相談は、インスタのDMまたはFacebookのメッセンジャーでも受け付けています。参加を迷っていらっしゃる方は、30分程度のオンライン相談を行うこともできます。
ENTRY
エントリーフォームにて申し込み(返信メールがすぐに届かない場合はお申し込みができていない場合がございます。お問合せくださいませ。)
相談日についてこちらからメールにてお返事いたします。ご都合の良いお日にちをお返事ください。
zoomにて相談いたします
参加費をお支払いいただけましたら申し込み完了となります
早割期間:6月23日(木)23:59まで
Q:どんな人を求めていますか?
A:まちづくりやデザインなどのスキル重視ではなく、まちづくりを粘って実践に取り組めるような人を募集しています。まちづくりは短期間でなにか達成するものではなく、長期的に関わり続けることで、少しずつ変化をもたらせるものだとPLUS KAGAでは考えています。一緒に加賀市で楽しみながら、地域の方とともに取り組める方を募集しています。
Q:全日程参加が条件ですか?
A:基本的には全日程参加が必須ですが、やむを得ない場合は対応できることもありますので、まずはお問い合わせ下さい。
Q:滞在費に加賀市までの交通費、食費は含まれますか?
A:滞在費に加賀市までの交通費、食費は含まれません。フィールドワーク中に発生する食費については事前にお伝えいたします。また、滞在予定の町屋にはキッチンもございますので、参加者は自由にお使いいただけます。
Q:当日参加が難しくなってしまったら?
A:PLUS KAGAへ参加決定後のキャンセルは基本的に不可となっております。新型コロナウィルスなどの感染が発覚した場合はすぐに運営チームまでご連絡くださいませ。
Q:3週間の期間は長くないですか?
A:PLUS KAGAは2016年にはじまった当初は3泊4日の短めのワークショップでした。しかし、参加学生から、もっと長くいたいという声がたくさんあがり、これまで毎年宿泊日数を伸ばしております。 また、3週間の期間そのまちにいることで短期的な滞在の視点から、住む、暮らす視点としてまちの提案をすることが可能になるのではないかと考えています。
Q:プログラム終了後はなにか継続的なサポートはありますか?
A:3週間のワークショップ後に、実践の継続を望む方には継続的なサポートを行います。これまでも多くの参加者がワークショップ終了後に実践を行なってきました。企画や運営のサポートはもちろん、金銭面等でも地域の助成金の紹介や地域の企業でのインターンの紹介などの継続的な活動の支援を行います。ただし、実践を行うのは参加者の方本人ですので、あくまで“サポート”という形で、みなさんがやりたいことを支援します。
Q:新型コロナウィルス感染症対策はどのように行う予定ですか?
A:高頻度の換気、室内でのマスク着用、消毒や手洗いの徹底の他に、
フィールドワークやワーキングを3密に配慮して行う
大人数での集会等は行わない
参加者の検温などの体調管理を毎日行う
などの感染防止を徹底した形で行う予定です。また、状況によっては滞在一週目は地域の方との接触を前提としない形でワークショップを行います。
ワークショップ期間中であっても、感染者がでた場合や緊急事態宣言などで止むを得ず中止する可能性もございます。あらかじめご了承ください。
PLUS KAGAはこれまで加賀市役所からの委託を受けて運営しておりましたが、今年度からは自主運営という形で行う運びとなりました。これからは、加賀市の皆様のお力をお借りして運営していきます!
2016年に加賀市の事業としてスタートしたPLUS KAGAは、2020年度をもって市の事業としての終了を迎えました。その後、地域の方々から「PLUS KAGAを続けてほしい」、「これまで来てくれた大学生に加賀市に関わり続けてほしい」といった想いを伝えていただき、私たちは今年からPLUS KAGAを自主事業として開催していくことを決めました。
その時私たちが考えたのは、PLUS KAGAを「地域による地域のためのプロジェクト」にしていきたいということでした。誰かが提供する一過性のイベントで終わるのではなく、地域の人々がみんなでつくりあげるプロジェクト、みんなが共有する地域づくりの文化にしていきたいと考えました。
「PLUS KAGAがあるまち」を地域の皆様と共につくる、その考えを今年から少しずつ実現していくため、加賀市の地域住民と地域企業の皆様に向けたPLUS KAGAの運営サポートの仕組みを用意させていただきました。ぜひご覧いただき、もしよろしければご協力のほどよろしくお願いいたします。
株式会社フォルク 代表取締役 三島由樹